オーロラを見に行くには

旅の準備・プランニング

一生に一度は見てみたい自然現象と言えばやはりオーロラではないでしょうか。
テレビや雑誌、ネットの画像にあるような美しいオーロラを生で見てみたい!そして写真に撮りたい!と思ってしまうはず。
そして今年2012年は太陽の活動が活発なため、数年前に比べて強いオーロラに出会える可能性が高いので、今年の秋冬はどこに行こうかなーと考えている方はオーロラ鑑賞なんていかがでしょうか。

オーロラを見るために必要な条件

オーロラを見るために必要な条件は、

  • 1. オーロラが発生している場所に居ること
  • 2. オーロラ発生時に空が暗い事
  • 3. オーロラ発生時に曇っていないこと

この3点が重要で、このうち1つでも欠けるとオーロラを見ることが出来ません。オーロラは雲より高い高度で発生する微弱な光なので、空が明るいうちはオーロラが発生していてもオーロラの光が見えません。そして、曇っている時に空を見上げても星が見えないのと同じように、オーロラが出ているときに曇っているとオーロラが雲に遮られて見ることが出来ません。

オーロラが見える場所

オーロラは完全な両極点近傍ではあまり発生しない。地磁気の緯度でいえば、昼側では75度を中心としておよそ77度から78度のあたり、夜側では65度を中心としておよそ68度から70度のあたりに、地球の磁極を取り巻くドーナツ状の領域に発生する。オーロラの発生している領域を「オーロラオーバル」と呼ぶ。そしてオーロラがよく発生する領域をオーロラ帯(オーロラベルト)という。地磁気の緯度でいえばおよそ60度から70度のあたりである。
参考文献:Wikipedia

オーロラは北極圏周辺に発生するので、見られる場所としてはアラスカ(フェアバンクス)、カナダ北部(イエローナイフ)、グリーンランド、アイスランド、フィンランド北部(ラップランド地方)、スウェーデン北部(キルナ)、ノルウェー北部(トロムソ)、ロシア北部(ムルマンスク)辺りで見ることが可能です。

空が暗くないとオーロラは見えない

オーロラの光は太陽光のような強い光ではなく、太陽光と比べると遥かに弱い光なので周りの光(太陽光や街の明かりなど)の影響を受けやすく、それらの光が強い場合、オーロラが発生していてもオーロラの光が他の光にかき消されてオーロラを見ることが出来ません。
なぜ、オーロラツアーはほとんど秋や冬の時期にあるかといえば、オーロラが出現する北極圏付近は緯度が高く、夏は日が沈まずに白夜になるので、その時期は夜でも真っ暗にならないのでオーロラが発生していても見えないからです。
秋や冬であれば緯度が高い分日照時間が短い(暗い時間が長い)のでオーロラが見やすいという理由です。
逆に言えば、わざわざ極寒の真冬に行かずとも、夜暗くなる9月や3月辺りのそんなに寒くない時期でもオーロラを見ることは可能です。

オーロラを鑑賞するポイントは、街中などの明るい場所では街の明かりが邪魔をしてオーロラの微弱な光が見えにくくなりオーロラ鑑賞に適しません。出来るだけ暗い場所から鑑賞した方が良くオーロラが見えます。これは暗い場所に行けば行くほど星空が綺麗に見えるのと同じ理由です。
オーロラ目的であれば出来るだけ郊外のホテルに宿泊するか、宿泊は街中にして晴れている日に割りきって現地の旅行会社が主催するオーロラ鑑賞の日帰り現地ツアー等に参加するのが良いと思います。

オーロラの天敵は雲!重要なのは晴天率

オーロラは自然現象なので見れないことも多々ありますが、少しでも見れる確率を上げたいならば晴天率を調べることです。
オーロラは雲より上の高度で発生するため、雨や曇り、雪などで雲が空を覆っている時はいくらオーロラが出ていても雲が邪魔でオーロラを見ることが出来ません。そのため、オーロラを見るためには晴天率が非常に重要になってきます。
晴天率が高いのはグリーンランドですが、グリーンランドは費用面等でとても行きにくいのが欠点です。イエローナイフやフェアバンクスも晴天率は高く、グリーンランドよりは遥かに行きやすいので人気があります。
北欧はラップランド北部(スウェーデン北部、フィンランド北部)が比較的晴天率が高いようです。
どこに行くにしても結局は天候や運に左右されるので、出来るだけ長く日程を確保して一日でも長く滞在するのが重要です。

代表的なオーロラ観測地の特徴

地域晴天率寒さ見所行きやすさ
アラスカ★★★★★★★★★★★★★★
カナダ北部★★★★★★★★★★★★
フィンランド北部★★★★★★★★★★★★★
スウェーデン北部★★★★★★★★★★★★★
ノルウェー北部★★★★★★★★★★
アイスランド★★★★★★★★★
グリーンランド★★★★★★★★★

フェアバンクスのあるアラスカとイエローナイフのあるカナダ北部は晴天率が良い上そこまで行きにくい場所でもなく、旅費もそれほどかかりません。昼間の楽しみ方の選択肢が少ないのと冬場の気温が低いのが欠点といえます。

スカンジナビア半島北部の北欧はフィンエアやスカンジナビア航空やJALのヘルシンキ線を使えば日本から行きやすく、航空券もそんなに高くありません。ただ、北欧は物価が高いので、ホテル代や食事代などの現地の出費が高くつきます。しかし、旅程の組み方によってはオーロラだけでなく、コペンハーゲンやストックホルム、オスロやヘルシンキ、タリン等の都市に寄り道するような旅程も組みやすいので、もし運が悪くてオーロラが見えなくても街で楽しめます。オーロラ+北欧デザインに触れる旅という感じにも出来ますね。
ノルウェーの海岸沿いは暖流の影響でラップランド地方より暖かい分、晴天率が低いようです。

晴天率が低めなアイスランドは、冬でも最低気温が0度前後と高い上、昼間の見所やアクティビティーが他と比べるとダントツで充実しているので日数が多く取れてなおかつオーロラ以外の楽しみ方にも期待するならとてもお勧めです。
世界遺産のシンクヴェトリル国立公園や間欠泉、大迫力のグトルフォスの滝やヨークルサルロン氷河湖など見所が多く、世界最大の温泉として有名なブルーラグーンや乗馬などいろいろ楽しむことが出来ます。欠点は晴天率と航空券が高いことでしょうか。ただ、航空券はLCC等を組み合わせれば多少安く済ませることも出来ます。晴天率はレイキャビク周辺よりは日本の国立極地研究所の拠点が近くにあるレイクホルトや北部のミーバトン湖周辺などが良いようです。

グリーンランドは晴天率が非常に高いですが、距離も遠い上航空券や物価も非常に高くて世界屈指の行きにくい場所です。グリーンランドに行くならコペンハーゲン経由かアイスランド経由、あるいはニューヨーク経由になると思います。

オーロラを写真に撮るには

オーロラを撮ろうと昼間の景色を撮るのと同じように普通にシャッターを押してもおそらく真っ暗な画像が出来るだけでオーロラは写らないでしょう。オーロラは微弱な光なので写真に写すのは結構難しいのでスマートフォンや携帯に付いているカメラではオーロラは恐らく写らないと思います。オーロラを綺麗に撮るためにはある程度の性能があるデジカメや一眼を用意して、デジカメのISO感度を上げて絞りを開放にしてオーロラの明るさに応じてシャッター速度を数秒~30秒程度にして撮影する必要があります。

三脚はオーロラ撮影には必須

カメラを固定する三脚はオーロラ撮影には必須です。シャッター速度が遅いと手振れしやすくなり、手持ちで数秒間カメラを動かさないなんて不可能なので、手ぶれ防止のためにしっかり三脚でカメラを固定する必要があります。デジカメに手振れ補正がついていても三脚がないと間違いなくぶれぶれの失敗写真になります。良いデジカメや良いレンズ以前に三脚は必須です。安いものでは数百円から手に入るので絶対に忘れないでください。(一眼レフなどの重いカメラを使う場合、三脚もしっかりしたものを使わないと写真がぶれてしまいます)
可能であれば三脚の他にリモートレリーズ(シャッターを切るリモコン)があると、シャッターを押したときの手振れがなくなります。リモートレリーズがなければセルフタイマーで撮ることでシャッターを押した瞬間のぶれを防げます。

上記のSLIKミニ2は小型軽量タイプの旅行に持っていってもあまり荷物にならない軽量三脚で、水準器もついているので夜間でも水平を取るのに便利。ただ、小さい分高さはそれほどないので、地面近くに置いてしゃがんでカメラを操作するような感じになります。コンデジやミラーレス機なら重量的にも問題ありません。

こちらはもう少し長いタイプの軽量三脚。重い一眼レフには厳しいですが、普通のデジカメや軽いミラーレス機なら問題ないはず。

重量のある一眼レフにはその重量を支えられるしっかりとした三脚が必要です。軽い三脚だと強風時に三脚が倒れてカメラが壊れるケースがあるので、三脚自体にある程度の重量があったほうが良いですが、重くて大きい三脚は荷物になるのでなかなか難しいところです。

どんなカメラが良いか

まず、暗い所で撮影するので高感度に強いカメラが望ましいです。ISOが800や1600、3200、もしくはそれ以上でノイズが少なく綺麗に写せるものが良いでしょう。デジタル一眼レフやミラーレス機ならレンズも重要です。F値が小さい(明るい)のと、空を広く写せる広角レンズが望ましいでしょう。ただし、良いレンズは非常に高価です。
普通のコンデジなら、マニュアル撮影機能がある機種が良いです。
撮影の方法は、まずカメラに三脚をつけてから、焦点距離を無限遠「∞」に合わせ、絞りを開放(F値を最小)にして、一番広角の画角でISOを出来るだけ上げて(ISOの感度を上げれば上げるほどノイズが目立ってしまうので、妥協できるところまで)、シャッタースピードを大体10秒~30秒に設定して、セルフタイマーで撮ってみて、全然真っ暗で写らなければシャッタースピードを遅くして、逆に明るすぎたらシャッタースピードを落とすかISO感度を下げて・・・という風に試行錯誤して行けばしっかりオーロラを撮影出来ると思います。
暗いからフラッシュを使っても全く無意味どころかその光が邪魔になってしまうので、フラッシュは使わないように設定しましょう。

このソニーのデジカメは高いですが非常に性能が良く、オーロラ撮影に最適です。1インチのイメージセンサーがついているので普通のデジカメよりも高画質で階調豊かな画像が撮影出来る上、高感度に強く、F1.8の明るいレンズもあるのでコンデジでオーロラを撮るなら間違いなくこの機種がお勧めです。小さいし軽いので嵩張らないのも旅カメラとして非常に魅力的。

ミラーレス機ならば高感度に強く、軽くて小さいソニーのNEX-5Nのダブルレンズキットがお奨めです。昼間は付属の標準レンズを使い、オーロラ撮影時は広角の短焦点レンズを使うという使い分けが可能です。画質によりこだわるならレンズを買い足せばカメラを買い換えなくてもよりよい写真を撮れる様になります。

1万円前後で買えるデジカメならこの機種がお勧め。シャッター速度が最大8秒しかないのが気がかりではありますが、レンズが24mmでF2.5と広角かつ明るいのでそこそこ明るいオーロラなら写せるはずです。

記事の情報は2012年9月当時のものです。